稀代の美男子

「わしにはどうも此の世の中に、こんなにあでやかな美少年が、生きていようとは思われぬ。若しこの者が、お身の言うように稀代の美男子なら、ぜひどうにもして、わしも近づきになりたいものだ」 と、言う折しも、中庭の、柴折戸《しおりど》があいて、だれかが飛び石づたいにはいって来ました。 その気配に、露月はそ...

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すっかり生きている

「ほんに、すっかり生きている――絵空ごとと世に言って、不可能《あらぬ》ものを、作り出すことにたとえるが、若《も》しこのように美くしい、真《ほん》ものの人間が、たった一人でも此の世にいたなら――」 と、言う片里の言葉を、引取るように露月が言いました。「ところが、それがいるのだ。天地の生み出すすぐれ...

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今日の元気は大したものだ

「お身の議論も久しぶりじゃ――いつぞや逢うたころには、文吾どのを亡くされた当座で、見る目もいたましく窶《やつ》れていなされたが――あの時にはこの分では、いつまた絵筆をとられるやらと、実は案じていた位。それだのに、今日の元気は大したものだ――そう言えば、それなる絖《ぬめ》は、何ぞ新らしい仕事かナ」 ...

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