一生懸命にはたらいているのです

 呉羽之介は片里が指すままに庭をながめました。青々《せいせい》たる梧桐《ごとう》の下に箒木を手にしている老人は、老い屈《かが》んだ腰も重げにうめきながら、みにくい皺《しわ》で一ぱいになった顔を、日のまぶしさにしかめつつやせ衰えた脛《はぎ》をふんばり、僅かな仕事に汗水を流して、一生懸命にはたらいている...

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頼りの兄弟姉妹もなく

「わしはこれまであらゆる世の中を見て来たつもりだが、まずそなた程の仕合者を、二人と見たことはござらぬ」「何で私が仕合者でございましょう」 と、呉羽之介は合点《がてん》せずに、「父親には夭《はや》く死に別れ、頼りの兄弟姉妹もなく、ただ母親ひとりの袂《たもと》にすがって日を送るものでございます」...

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当時名高いあなたのお筆

「今、そなたを前に置き、にすがたに比べながら、ほんの一筆入れればよいのじゃ」 呉羽之介はあどけなく、「それならすぐにお仕事に、おかかりなされまし、当時名高いあなたのお筆に、私の絵すがたが描かれると聴き、宿の母もしきりに楽しんで待っております。出来上ったら一刻も早く、見せてやりとう存じますれば――...

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